企業ブランディングと事業ブランディングの違いとは?

2つのブランディングを
制作の現場でよく起きる
「勘違い」から考える
「企業ブランディングをやりたいと思っていて…」ブランド開発やさまざまなクリエイティブ案件のご相談を受けるなかで、私たちはよくこうした言葉を耳にします。ただ、話を詳しく聞いていくと、実際に語られているのは、「この主力サービスの価値をきちんと伝えたい」「この新規事業を、ちゃんと認知させたい」といった事業そのもののブランディングであるケースも少なくありません。
企業ブランディングと事業ブランディング。言葉としては知っていても、いざ制作やブランド開発が始まる段階になると、この2つは驚くほど混ざり合ってしまいます。
本記事では、「定義の違い」を説明すること自体が目的ではありません。「なぜ混同が起きるのか」「混同したまま進むと何が起きるのか」を制作会社の現場視点から整理し、どのように設計していくとズレにくいのかをお伝えします。
なぜ「企業ブランディング」と「事業ブランディング」は混同されやすいのか
そもそも、この2つが混同されるのは、ある意味で自然なことです。
自社名=サービス名の事業がある
社内で「この事業が会社を代表している」という認識が強い
注力事業が単一、もしくは極端に強い
たとえば、上記のような企業では会社の話と事業の話が無意識に一本化されやすい傾向があります。問題が顕在化するのは、その状態で制作やブランド開発がスタートしてからです。たとえば、こんなズレが起こります。
企業ブランディングのつもりで社員アンケートを行ったが、回答は特定事業の話ばかり
ブランド整理のワークショップが「主力サービス改善会議」になってしまう
表現やアウトプットを検討する段階で、「これは会社の強み?事業の特徴?」と判断が割れる
こういった状況は、「考え方が間違っている」から起きるわけではありません。最初に、どのレイヤーの話をしているのかを共通認識として揃えないまま進んでしまうことから生まれます。だからこそ、私たちは、制作やブランド開発の最初に、時間をかけてヒアリングを行います。区分けが難しいことを前提に、「今、どの話をしているのか」を丁寧に言葉にするところから始めます。
まず押さえておきたい、2つのブランディングの役割の違い
ここで一度、シンプルに整理しておきましょう。
企業ブランディングとは
企業ブランディングは、「この会社は、誰にとってどんな存在なのか」を一貫して形づくる取り組みです。
対象は顧客だけではありません。
取引先
採用候補者
社員
社会そのもの
企業を取り巻くステークホルダー全体に対して、「どんな会社か」「何を大切にしているか」を伝えていきます。
事業ブランディングとは
一方、事業ブランディングは、「この事業・サービスは、誰に選ばれていて、どんな課題を解決するのか」を明確にする取り組みです。ターゲット、競合、提供価値…。よりマーケットに近い視点で設計され、売上や認知、利用促進といった成果に直結します。
重要なのは、どちらが「上」で「下」、「正しい」「間違い」という話ではありません。この2つを区別しないまま、表現や制作に進んでしまうと問題が起こることにあります。

制作の現場で見る「ズレが起きる瞬間」
私たちフレームワークスは、BtoB企業を中心に、Webサイト、コピー、ビジュアル、ブランド開発など、さまざまな制作に携わってきました。
そのなかで感じるのは、混線が起きやすいのは「複数の事業を持つ企業」のケースだということです。
単一事業の場合
事業が単一、もしくは強く集約されている場合、企業ブランディングと事業ブランディングは大きく乖離しません。誰に何を提供している会社なのかが比較的シンプルで、ブランドの軸や表現も混線しづらいからです。
複数の事業の場合
事業ごとにターゲットが異なる
事業ごとに競合や文脈がまったく違う
成り立ちやフェーズも異なる
こうした企業では、企業視点と事業視点を意識的に分けないと、言葉や表現が曖昧になります。
そのため私たちは、まず次の点を見極めることを大切にしています。
企業として共通している価値・姿勢は何か
事業ごとに異なる前提や文脈はどこか
これらを切り分けるために、企業視点/事業視点それぞれで整理や対話の場を設けます。たとえば、こうしたプロセスを重視しています。
企業の「らしさ」や価値観を掘り起こす価値再発見ワークショップ
中長期的な軸を定めるパーパス・MVVの整理
事業ごとの文脈に沿ったメッセージやスローガンの検討
このような取り組みを通じて、「これは企業の話」「これはこの事業の話」という共通認識を社内につくっていきます。
正解はどっち?ではなく、設計の「順番」で考える
では、企業ブランディングと事業ブランディング、どちらから取り組むのが正解なのでしょうか。私たちは、正解はひとつではないと考えています。大切なのは順番です。
ケース1|企業 → 事業の順で考えるべき場合
基本的には、このケースが多くなります。
事業間でターゲットが大きく変わらない
提供価値や思想に共通項がある
こうした場合、まず企業としての軸(スタンス・価値 観)を定め、その上に各事業の表現を載せていく方が全体にブレが出ません。
ケース2|事業 → 企業を後から整える場合
まったく毛色の違う事業を複数持っている場合はこちらです。特に重要なのは、「事業が複数あること」ではなく、「ターゲットや接点の文脈がまったく異なる」という点です。同じターゲットに向けた複数事業であれば「ケース1」になりますが、市場も前提も異なる場合は、事業起点で整理した方が現実的です。
ケース3|同時に進めるときの注意点
企業と事業を同時に整理する場合、最も重要になるのが情報資産の可視化です。「これは企業の話だったのか」「それとも、この事業固有の話だったのか」制作や表現の途中でも立ち返れるよう、言語化・共有された状態をつくる必要があります。
企業と事業をまたぐブランド開発や、複数のアウトプットを前提としたプロジェクトでは、最初の整理と要件定義が、その後のすべての制作の質を左右します。
私たちがブランド開発で必ずやっていること
フレームワークスの制作の特徴は、徹底したビジネス理解から始めることです。Web、グラフィック、コピー、映像。どんなアウトプットであっても、いきなり表現やデザインの話から入ることはありません。
事業の背景
営業や採用で起きている課題
強みや特長、それらを形成するファクト
そうした話をしっかり聴き、第三者視点で内容を整理し、「今、どのレイヤーの話を設計するべきか」を一緒に言葉にします。企業ブランディングか、事業ブランディングか。その判断も含めて、私たちは「制作の一部」だと考えています。
まとめ|迷ったときに立ち返りたい視点
企業ブランディングと事業ブランディングは、対立するものではありません。ただし、区別しないまま進めると、制作や表現は必ずどこかで迷子になります。
大切なのは、次の2点を見極めること。
今、整理すべきなのは「会社の話」か「事業の話」か
どの順番で設計するのが、自社にとって現実的か
フレームワークスは、そうした整理から伴走するブランド開発・制作を行っています。もし今、「何から手をつけるべきかわからない」「ブランディングと言われているが、社内で話が噛み合っていない」そんな違和感があれば、ぜひ一度ご相談ください。
最新トピックス
トピックス一覧




