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ビジョン策定はなぜ形骸化するのか?

組織が成長し続ける企業で
「共通認識」を
つくるための考え方

    企業の成長や事業の拡大に伴い、「改めてビジョンを定めたい」「価値観を言葉にしたい」と考える企業は少なくありません。特に、事業領域が広がってきた企業やグループ会社が増えてきた企業にとって、ビジョンの再定義は前向きで、ごく自然な取り組みです。

    組織が成長してきたからこそ、これまで暗黙のうちに共有されていた考え方や判断軸を、あらためて言葉として整理する必要が出てきます。

    一方で、そうした企業からこのような声を聴くことも少なくありません。

    • 「ビジョンは作ったが、現場ではあまり使われていない」

    • 「言葉としては正しいが、行動につながっている実感がない」

    本記事では、ビジョン策定そのものを否定するのではなく、「なぜ前向きな意図で始めた取り組みが、結果として形骸化してしまうのか」を整理します。そのうえで、組織が成長してきた企業において、共通認識として機能するビジョンを考えるための視点をお伝えします。

    ビジョン策定がうまくいかない企業に共通する状態

    まずお伝えしたいのは、ビジョンが十分に機能していない企業の多くが、「やり方を間違えている」わけではないという点です。むしろ、次のような状態に心当たりがある企業は多いのではないでしょうか。

    • ビジョンや理念は明文化され、社内外に発信されている

    • 経営層はその言葉に納得しており、大切にしている

    • しかし、現場での判断や日々の業務と結びついている実感が薄い

    このような場合、ビジョンは「存在している」ものの、組織全体の共通認識としては機能しきれていない状態にあります。

    さらに掘り下げると、このような状況が重なります。

    • 部署や事業ごとに、ビジョンの解釈が少しずつ異なっている

    • ビジョンが「掲げるもの」になり、「使うもの」になっていない

    • 忙しい現場ほど、抽象的な言葉を自分の業務に落とし込む余裕がない

    その結果、「良い言葉だとは思うが、日常では意識されない」状態に陥ってしまいます。ここで重要なのは、これは個々人の意識の問題ではなく、企業の状態や構造から生まれやすい課題であるという点です。

    なぜ、組織が成長してきた企業ほどビジョンが形骸化しやすいのか

    組織が成長し、事業やグループ企業が増えていくことは、企業が積み重ねてきた成果そのものです。一方で、その過程で起こりやすくなるのが、前提や文脈の違いです。事業ごとに置かれている市場環境が異なり、組織や役割によって日々の判断軸も変わっていきます。

    その結果、下記のような状態が生まれやすくなります。

    • 同じ言葉を使っていても、指している意味が少しずつ違う

    • 経営の意図と、現場の受け取り方にズレが生まれる

    • 正解が見えにくくなり、ビジョンに触れづらくなる

    これは、成長してきた企業だからこそ直面する課題であり、決してネガティブに捉えるべきものではありません。むしろ、次のステージに進むために、一度立ち止まって整理すべきタイミングだと考えることができます。

    良い言葉を作っても、ビジョンが機能しない理由

    ビジョン策定が形骸化してしまう理由を考えるとき、「言葉が良くなかったのではないか」と捉えられることがあります。しかし、私たちは多くの企業と向き合うなかで言葉そのものが原因であるケースは、実はそれほど多くないと感じています。

    多くの場合、ビジョンの言葉はよく練られており、内容としても間違っていません。それでも機能しなくなってしまうのは、その言葉が、どのような前提や文脈のもとで生まれたのかが、十分に共有されていないことが大きな要因です。

    • なぜ今、このビジョンを定める必要があったのか

    • どんな事業環境や組織の状態を踏まえているのか

    • どのような判断や行動につながることを期待しているのか

    こうした背景が共有されないまま、完成した言葉だけが社内に提示されると、受け取る側は自分なりに解釈するしかありません。

    • 結果として、言葉は正しいが、使いどころがわからない

    • 自分の業務との距離が遠く感じられる

    • 次第に、触れなくても支障のない存在になっていく

    上記のような状態に陥ってしまうことは無理もありません。ここで起きているのは、コピー表現の問題ではなく、設計の問題です。

    共通認識として機能するビジョンに必要な視点

    共通認識として機能するビジョンを考えるうえで、重要なのは「全員に同じ言葉を覚えさせること」ではありません。

    むしろ大切なのは、このような特徴を有している点です。

    • 迷ったときに立ち返れる判断軸になっているか

    • 部署や立場が違っても、向かうべき方向性を定める役割を果たしているか

    • 日々の意思決定の中で、自然に参照される存在になっているか

    そのためには、ビジョンを「掲げる言葉」として扱うのではなく、組織の状態や事業の前提と結びついた「考え方の集合体」として捉える必要があります。言い換えると、ビジョンとは単体で完結するものではなく、企業の成り立ちや、現在のビジネスモデル、これからめざす方向性とセットで初めて意味を持つものです。

    フレームワークスが、ビジョン策定の前に必ず行うこと

    私たちフレームワークスが、ビジョン策定やブランド開発に関わる際に重視しているのは、いきなり言葉を作らないことです。

    まず行うのは、企業の状態をしっかりと理解することから始めます。

    • どのような事業で価値を生み出しているのか

    • どの事業が成長フェーズにあり、どこに課題があるのか

    • グループ企業や事業間で、どのような役割分担がなされているのか

    こうしたビジネスモデルや組織構造を理解しないまま、ビジョンの言葉だけを整えても、後から必ずズレが生じます。私たちは、企業の成長段階や置かれている状況を踏まえたうえで、下記を言語化していきます。

    • 企業として大切にしてきた価値観

    • これまで暗黙のうちに共有されてきた前提

    • 今後、組織としてそろえていきたい判断軸

    このプロセスを経ることで、ビジョンは「上から与えられた言葉」ではなく、組織の状態を映した言葉として機能し始めます。

    ビジョンは、制作物につなげるための起点になる

    ビジョン策定は、それ自体がゴールになるものではありません。共通認識として機能し始めて初めて、社内外のさまざまな表現や施策につながっていきます。

    • 社内向けのメッセージ

    • 採用や広報で使われる言葉

    • Webサイトやパンフレット、映像などの制作物

    これらはすべて、ビジョンをそれぞれの文脈に合わせて「翻訳」した結果です。だからこそ、ビジョンの前提が整理されていないまま制作に進むと、このようなことが起こりやすくなります。

    • 表現ごとに言っていることが違って見える

    • その場しのぎのコピーが増えていく

    • 一貫性のない印象を与えてしまう

    フレームワークスがビジネス理解から始める理由は、制作物を作るという目的意識に応えるためではなく、制作物が機能する状態をつくるためです。

    まとめ|ビジョン策定で立ち止まることは、前進でもある

    組織が成長してきた企業にとって、ビジョン策定が難しく感じられるのは自然なことです。それは、企業が次の段階に進もうとしているサインでもあります。

    フレーズが悪いのではなく、前提が共有されていないだけかもしれない

    • 形骸化は失敗ではなく、見直すタイミングの表れかもしれない

    • 共通認識は、一度で完成させる必要はない

    まずは、「どんな状態の企業なのか」「どんなビジネスをしているのか」そこから着実に整理すること。フレームワークスは、そうした整理を起点に、ビジョン策定からその先の表現・制作までを一貫して支援しています。

    もし今、ビジョンについて立ち止まって考える必要を感じているのであれば、それは前進のための、自然なプロセスなのかもしれません。

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