ビジョンを作ったあと、何を作るべきか?

Webサイト、動画、
パンフレットのメッセージが
バラバラになる理由
ビジョンやパーパス、あるいは全社的なスローガンを苦労して策定した。「これからの方向性は、ある程度言葉になった」と思った矢先、次に何をすべきかを悩む企業は少なくありません。
まずは会社案内を作り直そうか
Webサイトも、そろそろ手を入れたほうがいいかもしれない
動画があれば、社内外に伝えやすくなるのではないか
どれも間違った判断ではありません。むしろ、ビジョンを形にしたことを伝えようとする前向きな動きです。
一方で、こうした流れの先で、このような違和感が生まれることもあります。
パンフレットとWebサイトで言っていることが違う
動画の雰囲気はいいが、他の表現とつながっていない
制作物が増えるほど、全体像が見えにくくなっている
本記事では、「何を作ったか」ではなく、「なぜバラバラに見えてしまうのか」という視点から、ビジョン策定の「その先」に起こりやすい課題を整理します。
ビジョンを作った直後に、よく起きること
ビジョン策定が一段落したあと、多くの企業で次のような会話が自然に交わされます。
「せっかく言葉ができたから、形にしていきたいですね」
「今の会社案内、少し古い印象なので刷新しましょう」
「Webサイトや動画もあったほうが伝わりやすそうです」
ここで重要なのは、これらはすべて「正しい判断」であるという点です。
ビジョンは、作っただけでは意味を持ちません。何らかの形で表現され、伝えられてこそ価値を発揮します。だからこそ、パンフレットやWebサイト(ブランドサイト)、動画、社内資料など、制作物の話が出てくるのは、ごく自然な流れだと言えます。
問題が生まれるのは、こうした制作が進んだあとに、「何となくバラバラに見える」状態になってしまうことです。
なぜ、制作物がバラバラになってしまうのか
制作物が増えるにつれて一貫性を失っていく現象は、決して珍しいものではありません。その理由を探っていくと、多くの場合、次のような状況が重なっています。
ビジョンの解釈が、人や部署ごとに少しずつ異なる
制作物ごとに目的やターゲットが個別最適で決まっている
「この制作物では、何を伝えるのか」が都度リセットされている
その結果、「パンフレットは会社紹介寄り」「Webサイトは営業寄り」「動画は雰囲気重視」といった、それぞれ単体では悪くないものの、全体として見るとつながりが見えにくい状態になります。
ここで起きているのは、表現のクオリティの問題ではありません。デザインやコピーが不足しているわけでもありません。
原因は、制作物の前提となる考え方や判断軸が、十分に共有されていないことにあります。
以前ブログ「ビジョン策定はなぜ形骸化するのか?」でお伝えした「ビジョンが共通認識として機能していない状態」で示した状態とそのまま地続きの課題でもあります。
問題は制作物の種類ではない
ここまで読むと、「では、どの制作物から手をつけるべきなのでしょうか」という疑問が浮かぶかもしれません。しかし、ここで一度立ち止まって考えたいのが、問題は「何を作ったか」ではないという点です。
Webサイトが悪いわけでもなく、動画やパンフレットが不要なわけでもありません。制作物がバラバラに見えてしまうのは、それぞれの制作物が、異なる前提・異なる判断軸で作られているからです。
裏を返せば、前提と判断軸がそろっていれば、制作物の種類が増えても、一貫性は失われません。必要なのは、「ツール選び」ではなく、考えるレイヤーをそろえることです。
ビジョン・スローガン・制作物の関係を整理する
ビジョンを起点に制作物を考える際、多くの企業で混乱が起きやすいのが、ビジョンとスローガンの位置づけです。
この2つは似た言葉として扱われがちですが、役割は大きく異なります。私たちフレームワークスは下記のように考えます。
ビジョン
企業としての方向性や判断の軸となるものスローガン
ビジョンを特定の文脈に合わせて切り出した「伝える言葉」制作物(Webサイト・動画・パンフレットなど)
スローガンや考え方を、さらに具体的な接点に翻訳したもの

この関係が整理されないまま進むと、下記の状態に陥ります。
スローガンがコピー単体として消費される
制作物ごとに、別々の言葉が生まれる
結果として、企業として何を大切にしているのかが見えにくくなる
スローガンは「目立つ言葉」ではなく、ビジョンをブレずに届けるための翻訳装置です。そう考えると、制作全体の整理がしやすくなります。
「何を作るか」ではなく「何をそろえるか」
制作物がバラバラにならないために、最初に考えるべきなのは、「最初に何を作るか」ではありません。ポイントは、制作に入る前に、何をそろえておくべきかです。
誰に向けたコミュニケーションなのか
その相手は、どのような文脈で企業と接点を持つのか
今の企業は、成長フェーズにどこにあるのか
事業やグループの中で、どの立ち位置にあるのか
たとえば、こうした前提は、制作物が変わっても共通であるべきものです。特に、急激に成長してきた組織やグループ会社が増えている企業では、事業ごとに文脈が異なるケースも少なくありません。
だからこそ、企業の状態やビジネスモデルを理解したうえで、表現の軸をそろえることが重要になります。
フレームワークスが制作の前に行うプロセス
私たちフレームワークスが、制作のご相談をいただいた際に重視しているのは、「すぐに作り始めないこと」です。私たちが多くのケースで最初に行うのは、ビジネス理解と状況整理です。
その企業が、どのような事業構造を持っているのか
現在、どのフェーズにあり、何が課題になっているのか
社内外で、どのような認識のズレが起きていそうか
そのうえで、順番と役割を意識しながら下記のようなコミュニケーションを設計していきます。
ビジョンやパーパス
スローガンやキービジュアル
CI・ブランドフォーマット
Webサイト、動画、紙媒体
制作物を作れること自体は、多くの制作会社が提供できます。私たちが大切にしているのは、制作物が「つながった状態」で機能し続けることです。
制作物は「増やす」ものではなく「つながる」もの
前提が整理され、考えるレイヤーがそろってくると、制作物同士の関係も変わってきます。
Webサイトは、企業の全体像を伝える役割
パンフレットは、商談や説明の場で補足する役割
動画は、空気感や姿勢を直感的に伝える役割
それぞれの役割が明確になることで、制作物は競合するのではなく、互いに補完し合う存在になります。この状態ができて初めて、「一貫したブランド表現」が結果として立ち上がってきます。
まとめ|迷ったときに立ち返りたい視点
ビジョンを策定した直後は、「早く形にしたい」という気持ちが強くなるものです。しかし、すぐに作り始めない、あえて立ち止まることが、結果的に近道になるケースも少なくありません。
順番を整えることで、制作のブレが減る
手戻りが少なくなり、結果的に効率が上がる
何を作っても、同じ方向を向くようになる
クリエイティブの制作において、立ち止まることは、後退ではなく前進のための準備です。フレームワークスは、ビジョン策定のその先にある、「何を、どの順番で作るべきか」という段階まで含めて、伴走する支援を行っています。
もし今、制作の話が進み始めるなかで違和感を覚えているのであれば、一度、考える順番を整理するところから始めてみるとよいかもしれません。
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